「パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる」
ある新聞にホームレスの方の歌が載っていました。
 政治も経済も教育も社会も、混乱と閉塞の霧の中であるといわれています。
 今は、じっと、暗い闇の底から上を見上げて、青空を流れる雲に望みを託し、
まず身近な方々と手を携えて、あたたかい家族や地域づくりの種まきをする時かもしれません。
へちまの種をまこうかな
どんどんのびて実をつけて
風にふらふら揺れたなら
隣で泣いてる赤ちゃんの
ごきげん すっかり直るかな(胃空)

2018/02/09

永続的リンク 10:04:08, 著者: ikuu メール , 語, 2 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: ささやかな願い

六つの花


「おーい 雲よ 217」
          鋤柄 郁夫
六(む)つの花
  ~女人芭蕉・田上(たがみ)菊舎(きくしゃ)~


今年の賀状の中に、女人芭蕉と讃えらた女流俳人・田上(たがみ)菊舎(きくしゃ)にふれた一葉があった。
さっそく調べてみると、誠に見事な一
生をおくられた俳人であることが分かり
心打たれた。
 菊舎は、1753年(宝暦3年)長門の国(山口県)の長府藩士の家に生まれた。
 自然豊かな静かな里で、仲間とトンボを追いかけたり、沢ガニをとったりして
幼少期を過ごした。
幼くして亡くした弟や妹のこと、16歳で結婚しすぐ夫と死別したことなども重なって、 近くの妙久寺(浄土真宗)との縁は深く、菊舎の心の中に仏教の教えが自然に溶け込んでいったのではないかと思
われる。

けふは今日に咲いて
芽出たし 花(はな)槿(むくげ)
山門を出れば
  日本ぞ茶摘みうた
花の骨も 犬さへ
  喰わぬ枯野かな

 菊舎の句をよんでいくと、光をいただいていく世界、生かされていることをじっと見つめている世界、欲のない真実に生きる世界が伝わってくる。
 菊舎は芭蕉に憧れ、親鸞に帰依し、生涯
を旅に明け暮れた俳人でもあった。     
頭陀(ずだ)袋(ぶくろ)を首に下げ、焼け付くような夏の日も、雪の舞い散る冬の日も、あるときは他人に一夜の宿を乞い、またあるときは星を仰いで野宿をしながら、一歩一歩に命を刻むように旅を続けた。
生涯一万㌔ともいわれる途方もない旅の道すがら詠んだ俳句は、3千以上ともいわれている。

月を笠に着て
 遊ばゞや 旅の空
しる知らぬ 人みな 
 恋し親知らず

 「奥の細道」を逆に辿った旅をはじめ、菊舎の旅は東北から関東、九州、信州へも足を運んでいる。

姨捨てた里に
  やさしき郭公(ほととぎす)
しばらくは 
 罪も忘れて月涼し
    (善光寺にて)
 一茶や、蓼太が江戸で俳句に打ち込んでいた頃、菊舎も江戸に足を向けていることを思うと不思議な気がしてくる。
 いただいた賀状には、田上菊舎の「六の花」と題した六句が添えられていた。
 これは、親鸞聖人五百五十回忌法要の際、京都西本願寺に参詣した折に詠んだ作であるという。
 六つの花とは雪のことであり、「なみあみだぶつ」を六句の頭文字にして折り込
んだ俳句で、御仏の慈悲をいただける感謝の気持ちが、六つの花(雪)に寄せて深く伝わってくる。

ならぬ身のなるは不
思議や むつの花

無量寿の種いただき
   ぬ むつの花

あさましの身ながら
 咲きぬ むつの花

三つのちまたも降り 
  つむ むつの花

ただ手ふって大門
 入りや むつの花

仏の道や 帰り来て
  むつの花ざかり

 仏の慈悲が降り注ぎ、野山が錦で飾られる秋、菊舎は74歳の生涯を閉じた。
 美しい季節に浄土へ旅立つ幸せを辞世
に詠み、その喜びを静かに味わいながら
深い眠りについた。

無量寿の
 宝の山や錦時
(松川町元大島)
          

2018/01/26

永続的リンク 11:25:10, 著者: ikuu メール , 1 語, 2 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: ささやかな願い

野生

「おーい 雲よ 216」
             鋤柄郁夫
野 生

昨年の暮、S子さんが大根や人参を届けてくれた。
新米教師の私が、大平小学校松川入分校で最初に受け持った6人の児童のひとりだ。
もう還暦を過ぎたと聞いて驚いたが、6人で遊びまくった山の分校の話に花が咲いた。
3年生3人、4年生3人の複式学級で、元気な子供たちとの生活は楽しくてたまらなかった。
春は、蟇(ひき)蛙(がえる)を20匹ほど捉まえてきて、男子が見事に捌(さば)き、女子がてきぱきと串刺(くしざ)しにした。
20㎝ほどの蟇蛙の丸焼きを、全校児童がそれぞれにむしゃぶりついて食べる光景は壮観であった。
夏は、近くの西俣川で魚を捉まえたり、泳いだり、筏(いかだ)を作ったりして川遊びを満喫した。
初秋のすがれ(・・・)(地(ち)蜂(ばち))追いも、懐かしい思い出だ。
巣を見つけるために、棒に差した蛙で地蜂をおびき寄せ、真綿をつけた肉片を掴ませて、それを目印に追いかけるのだ。
長距離を飛ぶ蜂を、子供たちは20㍍間隔ぐらいに並んで、「行ったぞ~~」と声をかけながら、山越え谷越え走る。
夜、土の中から大きな巣を掘り出したときの感動!

昨夏、『里山少年たんけん隊』という本が出版された。
著者の宮下和男先生は、児童文学の大家で、『きょうまんさまの夜』をはじめ数多くの素晴らしい作品を発表され、受賞もされている。            
また、信州児童文学会会長としてもご尽力され、長野県の文化発展に多大な貢献をなされた。
国語の教師としても、素晴らしいお力を発揮され、私もあたたかいご指導をいただいた。
『里山少年たんけん隊』は、豊かな自然の中で、野生味あふれる子供たちが遊び過ごす日々を通して、逞しく成長していく物語。
魚突き、ムジナ、キツネ火、村芝居、かわらんべ、野うさぎ、うなぎ・・・と子
供たちのあくことなき好奇心が描かれ、その息づかいが伝わってくる。
 主人公の和彦少年をとおして、今は亡き宮下先生の声が聞える。
 「川遊びや山遊びでドキドキハラハラした体験は、素晴らしい宝物だったよ!
 この感動こそ、私に生きる力を与えてくれた命(いのち)の原動力だったよ!」

子供たちが群れて山野を駆け回り、時を忘れて川で遊ぶ姿は消えた。
代わって、群れてゲーム機を囲み、時を忘れてスマホの虜(とりこ)になっている。
人類の長い歴史の中で、自然との共存によって血肉となって育まれてきた「野生の哲学(・・)」が、速成栽培された「近代文明の哲学(・・)」に凌駕(りょうが)され、音をたてて崩れ去っていく。
子供たちを、モノとカネの豊かさを追い求めてきた果てに得た「虚しい豊かさの社会」の犠牲にしてはならない。
       
 ルソー(フランスの思想家)の言葉が心底に響く。
 「子供を澱(よど)んだ部屋に置くぐらいなら、荒野に立たせたい」

          (松川町元大島)

2018/01/13

永続的リンク 11:18:25, 著者: ikuu メール , 語, 7 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: ささやかな願い

「おーい 雲よ 215」 
             鋤柄郁夫
 芽
 
 初春に、こんな清々しい詩に出会った。

芽  武鹿悦子 

あかちゃん
おくちに
はが ぽっつり

ふたつ ならんで
でてきたよ
はるを まつ
芽に
にているね

ちいさい
しろい芽
はが ぽっつり

 赤ちゃんの初々しい白い歯は、春の大
地に生まれた芽に似て、豊かに大きく育って!との期待を抱かせる。

 芽生えといえば、こんなことがあった。
 隣町に住む四歳の孫娘が、初めて両親を離れて一人で泊まった時のこと。
 朝、保育園に送っていく車の中で、突然こう言い出した。
 「じいじ、あのね、きょう保育園に行ったらね、みんなに、私のじいじは、ハゲ頭じゃないよって、言ってあげるからね!」
 あまりに唐突なこの言葉に、一瞬とまどったけれど、一晩親切にしてもらった
四歳なりきの精一杯の恩返しの言葉かナ
と察し、こう返事をした。
 「ありがとナ。みんなによ~く言っておいて!ついでにも先生にも頼むニ」
 内心、黙っていてくれればハゲに気づかれずに済むのに・・・とは思ったけれど、
幼い心を懸命に働かせて、お礼をしようと考えた心遣いが、「思いやり」の芽生えのようにも思われ嬉しかった。

「道徳性の芽を生かし、道徳的実践力を高める道徳の学習」という研究主題で、
昨秋、県の道徳教育学会の大会が伊賀良小学校で開かれた。
 公開授業も研究会も大変充実したもので、大いに勉強させていただいたが、「道徳性の芽」という言葉が妙に気に入って、終日心の中を駆け巡った。
 考えてみれば、前述の四歳の孫娘の言葉は、立派に発芽した「思いやりの芽」である。
 この芽に肥料を与え、手をかけて、すくすくと成長させて「道徳実践力」に高めてやるのが、大人の大切な務めであろう。

 九人の男女を無差別に殺した青年。 人の安全を無視して利益を図る大企業
のリーダー。
 世界に誇るスパコンを開発しながら、詐欺をした社長・・・。
 知力、体力に恵まれながら、人間としての舵取(かじと)り(徳力)を誤まる人々が跡を絶たない。
 どの子にも芽生えるであろう道徳性の芽が、成長過程のどこかで摘み取られてしまう社会環境なのだ。
 今こそ、国を挙げて「心」を育てる取り組みが急務ではないか。           
豊かな体験を通して、「心の芽」を発芽させる“感性の海”を満々と充たしたい。
 そして、その芽を育む健全な社会環境を構築したい。
 目先の利益に翻弄されないで、先を見据えた人づくり国づくりが問われる新年である。

手のひらを
 そっと合わせて
  へちまの芽 (小一)

          (松川町元大島)


2018/01/07

永続的リンク 09:21:46, 著者: ikuu メール , 語, 4 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: ささやかな願い

おめでとうございます


明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願い致します。

元旦に 孫二人と初日の出を拝みました。
近くの高台で拝むことができました。
3人で、しばらくの間しずかに祈りました。
孫たちは何を願ったのでしょう・・・。

私は、経済優先の金・金・金で突っ走る
浅ましい世の中が、少しでも「人間性」を
取り戻せる世の中になって欲しいと願い
ました。
どうして モノの豊かさと反比例するように
ココロが廃れていくのでしょうか・・・。

みんなで食べたお雑煮が美味しかったです。




2017/12/25

永続的リンク 16:09:08, 著者: ikuu メール , 語, 7 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: ささやかな願い

星空


「おーい 雲よ 214」

星 空
           鋤柄 郁夫

 星空に惹(ひ)かれるようになったのは、『星
空は何を教えたか』(吉野源三郎著)を読んだ時からかもしれない。
 些細(しさい)なことで兄弟喧嘩をしていた吉野少年が、その夜、星空を見ながら父が語ってくれた広大な宇宙の話を聞いたときの驚き・・・。
 その驚きが、読んだ私の心にも溶け込んで、以後、星空を見ているだけで心が落ち着くようになった。

 「星空が日本で最も美しい村」として、脚光を浴びた阿智村へ、全国からお客さんが訪れているとお聞き、素晴らしいとことと思った。
 多くの人々が、1400㍍の高原の頭上に輝く満天の星を、寝転んで眺めたり、望遠鏡で楽しんでいるという。

 なぜ、人々は星空に憧れるのだろうか。
 佐治晴夫(理学博士)は、著書『からだは星からできている』(春秋社)の中でこう述べている。
 「・・・すべての物質をつくるもとになる元素は、ことごとく星の中で合成され、
星が爆発というかたちで終焉を迎えた時、宇宙空間にばらまかれます。   
私たち人間も、その「星のかけら」が集まって出来ているのですから、脳の中には、遙(はる)かな宇宙進化の記憶が刻み込まれているといっても言い過ぎではないのです。
とりわけ、宗教的体験や芸術の創作でも、宇宙や自然との一体感が、悟りともいえる特別な感覚をもたらし、新しい世界への入口となるのも、そんなところに理由があるのかもしれません。・・・」

 佐治博士の言葉を読み取っていくと、宮澤賢治が思い浮かび上がる。
「地上のあらゆる物体や現象は、すべて宇宙とつながっている」という宇宙思想に
生きた賢治の作品には、星がよく登場する。
『双子の星』や『銀河鉄道の夜』に登場する『星めぐりのうた』(宮澤賢治作詞作曲)も、私たちを美しい星空へ誘ってくれる。

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あおいめだまの 小うぬ
ひかりのへびの とぐろ
オリオンは高く うたい
つゆとしもとを おとす

アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち
大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ
小熊のひたいの うえは
そらのめぐりの めあて

 今年も、あと僅(わず)かとなった。
 振り返ってみれば、殺人、車の暴走、虐待、企業の手抜き、汚職、いじめ、テロ、戦争、ミサイル乱射・・・上げればきりのない人間の破壊行為が続いている。
 新しい年号になるという再来年には、少しは人間性復活の大きな波紋が生まれるのだろうか・・・。
 せめて、遙かなる宇宙を、何万光年という果てしない時間を走り続けてその光を届けてくれる星空に、希望の星を見つけようか・・・。
 病身を窓辺に寄せて、限りなく瞬(またた)く星空を眺めたであろう正岡子規の歌にも、そんな思いを感じる年の暮である。

真砂(まさご)なす
数なき星の其(そ)の中に
吾に向かひて
光る星あり  子規






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